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MOON

MOON vol.15 / 十三夜 / #4C461A

2021.10.1

− 十三夜 −

Contents

◆ 十三夜/KAWAGUCHI Yuko
◆ 「十三夜」/HIRAI Yuta
◆ 月より団子/MIYAKITA Hiromi
◆ 二夜の月/MORI Atsumi


十三夜


“未完成の美しさ”
それは、日本人ならではの美意識のように思う。

十三夜は、日本で生まれた風習らしい。
中国から伝わった十五夜だと、天候が合わず、月が眺められない日が多かったようだ。そのため、晴れることが多い旧暦9月に、日本独自の月見をはじめたそう。秋の収穫を無事終えたことに感謝しながら、月を眺める。新月から数えて13日目にあたる、満月には少し欠ける月。この、未完成を美学とする日本人の感覚が、私はとても誇らしい。

完璧なものはつまらない。それ以上の余地がないから。
私がいいなと思うそれは、完成まであと一歩、9割5分くらいだろうか。もう少し磨ける、磨く余地がある、程度。
まるで十三夜の月のような、正円にはなっていない状態。例えば手作りのガラスコップ。ガタガタとした輪郭は、その歪さゆえに愛おしい。人はそこに、ストーリーを想像する。

『MOON』が「自然とともに」の精神を大切にしている所以は、ここにあるとも確信する。自然は、未完成の集まりだ。相対的で、可変的で、想像という余白がある。いわゆる、“わびさび”といわれるもの。日本人が美德としているこの“わびさび”の精神こそ、『MOON』が目指すそれである。花を生ける際、まっすぐな枝より、ぐにゃりと曲がった枝の方が、空間に動きが生まれる。この曲線が、何より美しい。

今年の十五夜は、8年ぶりのフルムーンだった。多くの人々が夜空を眺め、多くのストーリーが生まれたに違いない。
今年の十三夜は、10月18日。十五夜を見て、十三夜を見ないことを「片見月」と呼び、縁起が悪いとされている。その一種の迷信を信じ、十三夜は、月を眺めてみてはいかがだろうか。


日々に疲れた時、夜空を見上げた時、月が美しいと感じる心が保てますように -

18日の夜、晴れることを願って。


KAWAGUCHI Yuko
profile, portfolio


「十三夜」


2006年の夏、友達のバンド、
Sounds like waterとCONSTRUCTION NINEと旅をした。

別に、知名度や特別な人気があるわけでもなかったあの頃、
自分たちのための初めての旅を、自分たちで企画した。
府中、新宿、八王子、宇都宮、横浜、大阪。
8日間で、6つの街のライブハウスで演奏させてもらった。

自分は、友人として、裏方として、
企画から携わらせてもらっていた。

「RETURN TO THE MOON TOUR」

旅に、そんな名前をつけた。
あの姫の話から着想した。

姫は、罪を犯して、
罰として地球に送られてきてしまったんだそうだ。
罪や罰の捉え方には色んな解釈があるけど、
当時の自分はあの物語に感情移入した。

「太陽へ向かうみなさん、サヨウナラ。
 俺達は月へ帰ります。」

フライヤーには、そんな言葉を書いた。
当時、思っていたことを、月に投影した。


とにかく捻くれたまま、生きてきてしまった。
大きなものや多いものに上手くなじめず、
常に疑いながら生きてきてしまった。
すっかり嫌な人間に出来上がってしまったが、
疑うことから到達点を想像する尺の中で
深く考える癖はついたと思う。
消去法のような形で、
気づかされた自分の本心もある。

大きな流れのなかで色々疲れてきたときは、
また月に帰りたいような気分になる。
自分で呼吸を整えられる場所。
自分に帰れる場所。

あの姫は、地球に送られてきて、何を思っただろう。
月に帰ることができて、幸せだっただろうか。
帰ることができたなら、それは旅と呼べるのだろうか。


旅に出たことがきっかけとなり、
色んな人にお力をお借りして、
LOSER RECORDSというレーベルを運営させてもらった。
そして、翌2007年10月、
CONSTRUCTION NINEの1st mini albumをリリースした。
作品のタイトルは、あの旅と同じ名前のものになった。


HIRAI Yuta(CRAB WORKS)
https://crabworks.jp


月より団子


花より団子といいますが、私の場合は月より団子でしょうか。今年の夏は足の怪我から始まり、体調を崩して、思うように食べることができない時期があったので食事を見直しました。そして体質改善されたからなのか、美味しいものに目がなくなってしまいました。先月食べた旬の味覚を一挙紹介!

赤皮かぼちゃのスープ
沖キスの塩焼き
かんぱちのお造り
めかじきのムニエルまこもだけ添え
橘商店さんのあなごの天ぷら
北海道天然鮭の塩焼き
幸子さんに頂いた栗で炊いた栗ご飯
幸子さんに頂いたすだちたっぷりのすだちおろしうどん梅肉添え
きゅうりと茄子の糠漬け
お友達が送ってくれた大垣の干し柿
梅本農場さんのさつまいもでさつまいもご飯
梅本農場さんのつるむらさきを使った煮浸し風スープ
丹波まどい 自家製トマトに合うドレッシング
平七水産さんで見つけたキハダマグロのお刺身
平七水産さんで見つけた油カレイの煮付け
お友達のおばあちゃんが育てたロロンかぼちゃの煮付け
浅茂川漁港より秋イカのお刺身

食欲の秋!まだまだありそうなのですが、今日はここまでで・・美味しい丹後の食に支えられて良いダンスが踊れそうです!

それにしても十三夜について語るはずが、ご飯の話ばかりしてしまいました・・・ 今年は背の高いススキをよく見かけますので、月の光に導かれて大きくなったススキに会いにゆきましたので、月のお供のススキの写真を添えます。私も月に導かれてよく伸びますように。

MIYAKITA Hiromi
https://miyakitahiromi.com/


二夜の月


1年のピークは夏だと思っている。 
だんだんと日が長くなり、気温が上がってくると、いよいよ夏が来る、と感じる。
ギラギラとした日射しと、にぎやかなセミの声に煽られるように、人々も活発に動き回る。 
人も、虫も、植物も、まぶしい太陽の下でいきいきとして、夏はどこか、浮かれた空気があると思う。

けれど、今年の夏は雨続きの上に、相変わらず、なかなか自由に外出できない状況も相まって、不完全燃焼のまま、秋の気配が漂い始めた。 
暑いのには文句を言うくせに、あの強烈な日射しがないとどうにも寂しくて、会う人会う人に「夏はどこに消えてしまったんだろう」とぼやいていたのだけれど、9月に入って、お茶のお稽古の際にお月見のしつらえを見て、はっとした。

そう、もう秋が来ているのだ。 
あぁ、夏をいつまでも引きずって、秋までをも満喫しないまま過ごすところだった。 
こうして私はいつも、過ぎたことに目を向けているうちに、乗り遅れてしまう。 
今年の十五夜は、月を眺めながら月見団子でも食べようか。 

しかし、なかなか上手くはいかないもので、当日は雲が出てしまい、月を眺めることは叶わなかった。 
それでも、虫の音が聞こえる中で、ぐっと涼しくなった夜風に吹かれながら空に月を探す時間は、とても心地よかった。 
このまま、ふらりと夜の散歩にでかけるのもいいなぁ。  

昔から、旧暦の9月13日、今で言う10月の十三夜の月は、十五夜の月に並ぶくらい美しいと言われていて、この日にもお月見をする風習があるそうだ。しかも、どちらか片方の月しか見ないことを『片見月』と言って、十五夜の月を見たら、十三夜の月も見ないと縁起が悪いらしい。

だとすれば、十五夜の月を見られなかった私が十三夜の月だけ見ることは、縁起が悪いということになるのだろうか。でも、時季的に天気がよくないことの多い十五夜に対して、「十三夜に曇りなし」とも言われているようだし、せっかくなので、十三夜こそ美しい月を眺めたい。  

月明りに照らされながら歩く秋の夜、きっと、私の心の中はおしゃべりになるに違いない。
何かと考えることの多い今日この頃、心地よく、自分と向き合えそうだ。 

MORI Atsumi
元・丹後在住。現在は京都市内でデスクワークの日々。


編集後記

「No.2だから、ヤンチャできる。」
これは、今から21年前、当時業界2位だったKDDIが出した広告だ。コピーライターの中村禎さんが書かれたコピーで、デザイン業界に惹かれていた私の心に、ズンと入ってきた。今でも、何かにチャンレンジする時、この言葉が浮かぶ。

この、「1番より2番がおもしろい」という感覚は、「未完成の美学」と通ずる気がする。
もちろん、1番にはなりたいが、なってしまうと、今度は追われる立場になる。目標を達成すると、妙に喪失感に襲われてしまうように、上り詰めてしまうと、あとは下るしかない状況に閉塞感を感じる。

追いかけている時こそ、目標がある時こそ、自分が未熟である時こそ、気持ちが燃え上がる。
常に前を向く人生でありたい。

2021.10.1 KAWAGUCHI Yuko



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